測定時にLD出力値を高くしてとった画像の方が血流値(MBR)は高くなるということでしょうか?
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LD出力を高くした場合、血管部分に限って大抵の場合、値は少し高くなります。
組織血流部分では十分散乱しているので、極端にLD出力を下げない限り値はさほど変化ありません。

これは以下ような理由によると考えています。

・「光量の増加により光散乱回数が増える」

LDの出力を増加させますと、測定部位の深くまで光が到達するようになります。
到達した組織が光をよく散乱するものであった場合、多重散乱を繰り返すため、干渉性が低下して、その分スペックルのコントラストが下がってしまいます。
MBR値というのはコントラストの逆数のため、コントラストが下がると値が上昇するので、上記のように本来の血流速度よりも若干高くなります。
問題なのはこの上昇する度合いが、組織の散乱特性に依存することです。

したがいまして、測定時には、前回撮った時と同じ程度のレーザーレベルで測定するようにして下さい。

Tips:クリップボードで前回測定した測定データをダブルクリックすることで、前回測定した際のレーザーレベルで測定画面を呼び出すことができます。

・「画像信号を数値化する際に、検出限界がある」

これはLD強度を極端に高くしたり、低くした場合に起きる問題ですが。CCDカメラが受光したスペックル信号は0~255までの整数に変換されてメモリーに記憶されます。
この時255以上の明るい光が入ってきても、値は全て255として記憶されます。
この状態を信号がクリップしている(あるいはサチる)と一般に呼び、白黒画像で表示すると、一面真っ白な画像になります。
各画素が255ばかりになると、 コントラストが低下する(その逆数である血流値は高めに表示される)ことになります。
コンタクトレンズなどでたまたま強い正反射を拾ったときなども、血流 マップに真っ赤な太陽が写り込むことになります。
逆に光量が低すぎると、4.1は4として、4.9も4として記憶されます。小数点以下の情報が消滅するため、その分統計誤差が増え、値のばらつきが増えて、粒状性の粗い画像になってしまいます。
これらを避けるため、測定したい場所がLD強度マップで大体緑色(値で言うと100周辺)になるくらいのLDレベルに調整してください。

強度マップ
LD強度マップ調整例


乳頭と脈絡膜の血流を同時に観たいとき、光強度レベルが大きく異なるので、どちらに合わせればいいか困ると思います。
参考までにレベルを変えたものを1回ずつ撮っておけば、後から乳頭以外の網膜のレーザーレベルが暗すぎたと悔やむことはなくなります。